先生がいてくれるなら②【完】
何を言い出すのかと思ったら。
もう学校の行事なんてどうでも良くて、このまま立花の看病をしたい気持ちだった。
「行くの、やめるよ」
「……だめですよ。他の先生が困っちゃいます、お仕事なんだから。あと……私の代わりに沖縄、見てきて下さい」
彼女は自分はもう修学旅行に行けないことが分かっている。
だから俺に見てきて欲しい──そう言って作り笑いをする立花を見ると、涙がこみ上げてくる。
「なぁ……その前に、今日何があったんだ? こんな……」
「先生、その話、今はしたくありません。先生が修学旅行から帰って来てから話します」
そう語気を強めて言うからには、今は絶対に口にしないつもりだろう。
だが、ここはこちらも引き下がるわけにはいかない。
「でも……」
そう言いかけたところで、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。