先生がいてくれるなら②【完】
「あなたって本っ当にバカなのね。残念、先生ってもっと頭の良い子が好きなんだと思ってた」
「……どう言う意味ですか?」
「いやぁねぇ、言葉の通りじゃない」
「……」
「合成なわけないでしょ? それはあなたが一番よく知ってると思うけど」
そう、これは合成なんかじゃ無い。
だけどこれを認めてしまうと先生の立場が悪くなるかも知れないのだ。
フェイクだと、言い張るしか無い。
「それに……」と言って彼女は妖艶に微笑んで「これって写真じゃ無いのよ」と続けた。
写真じゃ無いって、……どう言う意味だろう?
考え込む私に、彼女は再び携帯の画面を操作する。
すると──画面には、先生のマンションの駐車場前に停めた車の中でキスをする私たちの “動画” が映し出されていた。
最初は場所が分かるようにロングで撮影されていて、徐々にズームされて行き、最後には完全に私と先生の顔がハッキリと分かるほど──それは言い逃れ出来ないほどアップで撮影されていた。
「……っ!」
彼女は「あらあら、素敵なシーンね?」と言って片方の眉を上げて笑みを私に向ける。
彼女の不気味な笑みをぼんやりと見つめながら────
私にはもう反論する事は出来なかった──。