先生がいてくれるなら②【完】

もう枯れ果てたと思った涙がまた私の目に貯まり、瞬きをすると一気に溢れ出て頬を伝った。


一度溢れた涙はすぐには止まってくれそうにない。



「明莉……」


私をギュッと抱きしめてくれる美夜ちゃん。


私を苦しそうな表情で見つめる悠斗。



ごめん、私は二人に心配してもらえるような人間じゃない、そんな人間じゃないんだよ……。



私は声を押し殺し、ただただ涙を流した。


最低な私を一言も罵らずに、冷静な瞳で悲しげに受け止めていた先生を想って──。



泣くだけ泣いて、私は涙でぐちゃぐちゃになった顔をハンカチで拭いながら、二人に謝った。


「ごめん、ごめんね、美夜ちゃん、悠斗……。部活、サボらせちゃったね……」


「そんな事気にすんな! 部活は毎日あるけど、お前を慰めるのは今しか出来ねーだろ!」


「めずらしく良い事言う倉林君と、私も同じ意見だよ!」


「……なあ滝川、喧嘩売られた気がするの、俺だけ?」



滅多に見られない二人のじゃれ合いに、思わず苦笑した。


そんな私を見て、二人はやっぱり悲しそうな顔をする。


< 288 / 354 >

この作品をシェア

pagetop