先生がいてくれるなら②【完】
「美夜ちゃん、悠斗、ごめん、ほんとに……」
「何があったか、話してよ。私たちで力になれる事があるかも知れないし!」
美夜ちゃんが真剣な顔で私に訴えかける。
私はいつまでも隠し通せるものではないと観念し、口を開いた。
「私ね……先生と、別れた」
掠れる声でそう言うと、美夜ちゃんの目に涙が貯まるのが見える。
悠斗の顔には明らかに怒りの表情が。
「アイツ……っ、」
立ち上がって、今にも部屋を飛び出そうとする悠斗に向かって私は「違うの、私が言ったの、別れて欲しいって!」と叫んだ。
「え……?」
驚いて振り返り、目を見開いた悠斗に、私はもう一度「私が言ったんだよ、別れて下さいって」と繰り返した。
「な、んで……? お前、あんだけアイツの事好きだったじゃん、それなのに、なんで!」
悠斗の言葉に、私は何一つ答える事が出来ない。
だって、まだこんなにも好きな気持ちが大きくて……。
「明莉、教えて? 何があったの?」
美夜ちゃんの言葉に、私は頭を横に振った。
今は、二人には別れたと言う事実だけしか話せない。
「ごめん、ごめんね……。悠斗は言ってくれたよね、『相手は “先生” なんだぞ』って。今更こんな事私が言うのは卑怯だけど……でも、悠斗の言ってる事、間違ってなかったね。私が生徒だから、先生を……」
私は泣き崩れて、思っている全てを口にする事は出来なかった──。