先生がいてくれるなら②【完】
出来れば放っておいて欲しいんですけど、とは言えず、聞かれるがままに一応答える。


すると、細川先生は苦笑しながら「答えたくないって顔してる」と言って自分の眉間を指でトントンと叩いた。


どうやら私の眉間に皺が寄っていたらしい。


「あ……すみません」


あまり悪いとは思ってないけど、とりあえず謝って、私は自分の眉間の皺を伸ばすように指で撫でた。


細川先生は「引き止めてごめん。でも、何かあったらいつでも聞くから。あと、英語で分からない所もぜひ聞きに来て」と言って私の頭をふわりと撫でた。



「……いまのところ両方間に合ってますけど、ありがとうございます」



正直に返事をし、会釈をして踵を返して英語科の準備室を後にした。


私の耳に、細川先生の笑い声が届く。



笑う要素、どこにも無いと思うけどな。





私の残り一年間となった高校生活は、まだまだ色々ありそうだ────




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