先生がいてくれるなら②【完】
私が孝哉先生の方に視線を移したことに気づき、お母さんはハッとして二人の先生に向き直った。
「先生方にはご迷惑をおかけして、申し訳ありません……」
お母さんが頭を下げる。
「違います、私がもう少し早く気づいてあげられれば良かったんです。こちらこそ、申し訳ありませんでした」
孝哉先生が深々と頭を下げた。
その様子を見て私は苦笑いをする。
「ね、もうやめて、どっちも悪くないよ」と言う私の言葉に、二人はやっと頭を上げた。
「先生も、もう学校に戻って下さい。修学旅行、お土産は青い空と青い海の素敵なお話が良いです」
私が笑顔でそう言うと、先生は眉根を寄せた。
「さぁ、先生。早く戻らないと」