先生がいてくれるなら②【完】
先生は「また連絡するから」と言い残して、しぶしぶ学校に帰って行った。
お母さんもまだ仕事が残っているらしく、私の様子を気にかけながらも小児科病棟へと戻った。
この病室に残されたのは、私と光貴先生──。
「立花さん、ちょっとだけ話を聞かせてもらっても大丈夫かな?」
光貴先生はいつもと同じように、優しく話しかけてくれる。
だけどこの先聞かれるであろう話の内容察し、私は「はい」と辛うじて聞こえるぐらいの小さな声で返事をした。
「ごめんね、医者としても弟としても、話を聞かないわけにはいかないから……」
光貴先生の気遣いに、申し訳なくなる。
「大丈夫です……あの、でも、孝哉先生にはまだ言わないで下さい」
「うん、それは約束します」
「ありがとうございます」