先生がいてくれるなら②【完】
昨日のことが脳裏から離れない。
痛々しい姿でベッドに横たわる彼女が一瞬だけとても弱々しく見えたけれど、口を開けば相変わらずで、私を再び地獄へと引きずり戻した。
『生まれて初めて、“生きてて良かった” と思ったわ』
彼女は、駆けつけた私にそう言い放ったのだ。
そして──『まだ何も終わってないものね?』そう付け加える事も彼女は忘れなかった。
そう。終わってない。
なにひとつ。
無意識に、グッと奥歯を噛みしめる。
その表情を見たのだろうか、細川先生が「ホントに大丈夫? 今からでも引き返して帰った方が……」なんて言っているけど、あまり耳に入らない。
何を言ったか正確には分からないけど、私は適当に首を振って答える。