先生がいてくれるなら②【完】



────終わった。





これで、私と先生の関係が、終わった……。



不思議とまだ涙が流れない。


私はカラオケのリモコンを手に持ち、目に付いた適当な番号を入力する。


歌うためじゃない。



思いっきり、泣くために…………。



ボイスレコーダーは、まだ、止めない。


誰の何という曲かも知らないメロディーが大きな音で流れ出す。


幸いなことに、とても陽気な曲だった。




私はその曲を聴きながら、大声で、泣いた。




先生、ごめんなさい。


傷つけて、ごめんなさい。


こんな私で、ごめんなさい……。


こんな私をたった一時でも、好きになってくれて、ありがとうございます。



好きです。


大好きです。



大好きだから、私から手を放しますね。



どうか……どうかこれで、先生を守ることが出来ますように────



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