先生がいてくれるなら②【完】
思いもよらない人物の名前が出たことに私は心の底からビックリした。
「えっと、でも、藤野教授って、あのっ……」
「多分兄さんは立花さんには言いたくないと思うから、僕から聞いたって事は内緒にして下さい」
そう言って光貴先生は人差し指を口の前で立てる仕草をする。
「立花さんがここに運び込まれたとき、個室と僕をセットで立花さんにあてがうように父にお願いしたらしくて。僕が知ってる限りでは、あの二人が会話するのって4年ぶりぐらいなんじゃないかな」
孝哉先生がお父さんの事をあまり良く思っていない事は知っていたけど、そこまで接点を無くしてしまっているとは思わなかった。