先生がいてくれるなら②【完】
「良いなぁ。……ねぇ先生、写真撮っておいて下さいね」
『バカ、引率の教師が写真なんか撮れるワケねーだろ』
「じゃあ、先生の心に焼き付けておいて下さいね。帰ってきたら全部言葉でアウトプットして貰いますから」
『俺は文系じゃ無いから言葉には出来ないなぁ、残念! 数式でならアウトプットしてやるよ』
「えっ。夕焼けってどんな数式ですか!? 先生ひどすぎ!」
こんな、なんでもない会話も、私には嬉しい。
先生は入院中、毎晩電話をかけて来てくれた。
普段は電話で話す事なんて滅多に無いから、なんだか特別な、すごく貴重な、そんな幸せなひとときだった。