先生がいてくれるなら②【完】


一冊の絵本を読み終える頃には、いつの間にか私の周りにはたくさんの子供達が集まっていた。


どうやら途中で私の読み聞かせに気付いた子たちが、一緒に聞いてくれていたらしい。


目をキラキラと輝かせる子供達に「次はこれ!」、「次はこっち!」とせがまれ、いつの間にか即席の読み聞かせタイムとなっていった。


私はたくさんの子供達に囲まれ、何冊も絵本を読み、一緒におもちゃで遊んだ。




ある時間になると、子供達はそれぞれ点滴などの処置の時間になったらしく、みんなそれぞれの病室へと帰って行く。


ひとり残された私が絵本を整理し直していた時、休憩室の入り口付近の壁にもたれるようにして立っている白衣姿の男性が目に入った。



──どこかで見た事のある雰囲気の、男性。


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