先生がいてくれるなら②【完】
「あの……ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
私は精一杯頭を下げた。
頭を下げるぐらいしか、私には出来ない。
私のせいで二人の関係が更に悪化してしまうなんて事になったら、どうしよう……。
「きみが謝る必要は無い。頭を上げなさい」
藤野教授は、さっきより少し優しい声で頭を下げる私に声をかけた。
「身体の方はもう大丈夫なのかな? 見たところ顔色は悪くなさそうだが」
「はい、お陰様で元気になりました」
「そうか」
「はい。あの、お気遣いありがとうございます」
「いや……」
私は緊張のMAXで、手にじっとりと汗をかいている。
私はなぜこの部屋に呼ばれたのだろうか……。