先生がいてくれるなら②【完】
──次……?
廊下を歩きながらグルグルと藤野教授の言った “次” と言う言葉の意味を考え続ける私に、光貴先生はニッコリと嬉しそうな表情をした。
「立花さんは凄いね。あの父からあんな言葉を引き出させるなんて。一体何を言ったの?」
「えっ? いえ、たいした事は何も……」
光貴先生は「ほらね、だから先に謝っておいた方が良かったでしょ?」と笑う。
「えっ……」
「父は立花さんを気に入っちゃったみたいだから、また何かあるよね。ごめんね、ほんと」
「えっ、えっ!? 何かって、何があるんですか!?」
あたふたする私を見て光貴先生はクスクスと笑った。
「うん、次は多分……いや、いま言うのはやめとくね。まぁ楽しみにしてて」
「えっ、楽しみにって……! 光貴先生~!」
困惑する私を余所に、楽しそうに笑う光貴先生──。
藤野家の男の人って、ほんと三者三様で私を翻弄してくれる……。