先生がいてくれるなら②【完】
「先生、こっちに来て座って下さい」
先生の腕を引いて、ソファに誘導する。
私が先生の向かい側に座ろうとすると、先生に手を掴まれた。
「お前もこっちだろ」
手を引かれるままに隣に腰掛け、自分の状態をすっかり忘れて背もたれにもたれかかってしまい……私は思わず顔をしかめた。
私の背中や上腕には蹴られた事による痣が多数あり、何かに当たったり、なんなら身体を動かすだけでもズキズキと痛む。
「痛むのか?」
先生がものすごく心配そうな表情で私を見つめている。
「大丈夫です、ちょっと忘れてて……そんなに痛くないですから」
慌ててそう言い繕ったけど、先生の表情が曇るのが分かった。