先生がいてくれるなら②【完】

「先生、こっちに来て座って下さい」


先生の腕を引いて、ソファに誘導する。


私が先生の向かい側に座ろうとすると、先生に手を掴まれた。


「お前もこっちだろ」


手を引かれるままに隣に腰掛け、自分の状態をすっかり忘れて背もたれにもたれかかってしまい……私は思わず顔をしかめた。


私の背中や上腕には蹴られた事による痣が多数あり、何かに当たったり、なんなら身体を動かすだけでもズキズキと痛む。


「痛むのか?」


先生がものすごく心配そうな表情で私を見つめている。


「大丈夫です、ちょっと忘れてて……そんなに痛くないですから」


慌ててそう言い繕ったけど、先生の表情が曇るのが分かった。


< 62 / 354 >

この作品をシェア

pagetop