先生がいてくれるなら②【完】
「明莉が修学旅行に行けなかった事、すごく気にしてるんだなって思った。
本来だったらここに明莉も一緒にいたのに、って思っちゃったんだろうね。私も同じだったから、先生の言いたい事はよく分かったんだ。
私と明莉が相思相愛なのと同じでさ、先生と明莉もそうなんだ、って分かったよ」
美夜ちゃんはペロリと舌を出して笑った。
嬉しい。
美夜ちゃんが私の事をよく分かってくれているのも、先生が私の事を思ってくれているのも、本当に嬉しい。
「そっかぁ、ついに明莉と先生が、ねぇ……。んふふっ」
「も、もうっ、美夜ちゃんっ」
美夜ちゃんと他愛ない話をしていると、隣の数学準備室の扉が開く音が聞こえた。
どうやら藤野先生が出勤して来たらしい。
「お。彼氏様のご到着ですね!」
「み、美夜ちゃんっ!」
茶化す美夜ちゃんを赤面しながら軽く睨んだけど、効果は無く、逆に笑われただけだった。
部室を出た私たちは、準備室の前で足を止める。
「さて、私は一足先に教室に行ってるねぇ~。彼氏とお話してからおいでっ」
美夜ちゃんはそう言って私の肩をポンッと叩き、足早に教室へと去って行った。