先生がいてくれるなら②【完】
──その顔があまりにも間抜けだったのか、コーヒーを手に戻ってきた先生が「おい、なに呆けてんだ?」と笑っている。
「だって、なんか、久しぶりで嬉しくて」
私がそう言うと先生は「ばーか」と言いながらコーヒーカップを手渡してくれた。
「まだ全身痛いんじゃないの? 大丈夫?」
んふふ、先生が優しい。
そんな些細なことすら嬉しくて、私の顔は完全に緩んでしまう。
「大丈夫です、私こう見えて頑丈なんで」
私がそう言うと、先生はため息をついた。
「頑丈っつーか、気が強いっつーか……」
「……え?」
な、なんですと!?
「いや、何でもない」
「え。何でもなく無いです。気が強いって、どのへんが……」
私は先生に抗議しようと、手に持っていたコーヒーカップを長机に置いて立ち上がると、まるでそれを見越したかのように先生は私を抱き締めた。