寂しいから
マイホームという、綺麗な箱の中は空っぽだった。
誰かと暮らしているはずなのに、寂しくて、冷たくて。
やたらと空間が広すぎて居心地が悪かった。
…それは、突然だった。
自分がこのまま、この空っぽな箱にしがみついて何になるの?って。
そんな自分の声が聞こえたのは。
きっと自分は馬鹿なのだろう。
このまま、この箱の中にいれば安全で生活には困らない。
でも、生きたいと思った。
この状態は生きてるのに生きている気がしなかったから。
ただ、綺麗な家という箱を磨き、仕事に行き、
疲れた身体を引き摺るように、話もしない男の食事を作り、洗濯をする。
そんな人生で終わりにしたくなかった。
若いと言われる年齢はとうに過ぎている。
でも、歳を取りすぎているわけでもない。
やり直せる。生き直せる。
そう思った時、決心がついた。