竜使いの少女が恋したのは王子様でした【完】
 イーロは舞い上がり、山を一つ越えた村の中にある診療所へと舞い下りた。

 イーロから降りた父は、私をその背中から下ろし、診療所(わき)の木にイーロを括り付ける。

 診療所で先生に診てもらうと、すぐに、

「あー、折れてるねぇ」

と残念そうな声で言われた。

そうだと思った。明日からどうしよう。

そんなことを思っていると、おもむろに腕を持った先生にぐりっと腕を捻られる。

「んーーーーーっっっ」

ものすごい激痛が走り、呼吸も心臓も一瞬止まったかと思った。

「ズレた骨を戻さないと
 真っ直ぐ繋がらないからね」

先生はさらっと言うけど、そんないきなりやらなくてもいいじゃない!

 私は、涙目で先生を睨む。
 
 けれど、先生は、そんな私にはお構いなしでさらに右へ左へと少しずつ捻りながら骨を繋いでいく。私はもう涙を堪えることも出来ず、歯を食い縛りながら、ぽろぽろと涙をこぼす。

 そのまま添木をして固定され、三角巾で肩から腕を吊り、父と共に帰路に着いた。

「お前は、今日はもう寝てろ」

父はそう言って私を家に帰そうとする。だけど、私がいなければ、今日の仕事は終わらない。

「大丈夫よ。
 右手は使えるんだし」

私はそういうけれど……

「レイナ、いいから、今日は寝てろ」

父はそう言うと、私を家に押し込んだ。

ドア越しに、遠ざかる足音が聞こえる。


ふぅぅっ

私は、色あせ古びたソファーに腰掛けた。


大失敗しちゃった……

竜が入ってきたら、すぐに気付くのに、何やってたんだろう。


アウリス……

会いたい。


なんで?

私から断ったのに……

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