竜使いの少女が恋したのは王子様でした【完】
「さすがにもう、そんなこと思ってないよ」

そう、アウリスとはもう終わったもの。

「じゃあさ、レイナ、俺じゃダメかな?」

「え? 何が?」

私は首を傾げる。

「俺と結婚してくれないか?」

「えっ!?」

だって、そんなこと、一度も……

「俺は子供の頃から、ずっとレイナを妹みたいにかわいがってきた。でも、いつの頃からか、レイナを思う気持ちは、ソニヤを思う気持ちとは違うことに気付いたんだ。
 ……レイナ、俺と結婚しよう」

だって……

私が好きなのは、アウリスだけ。

報われないことは分かってても、何年も思ってきたこの気持ちをなかったことにはできない。

「ごめんなさい。
 私、オルヴォをそんな風に見たことなくて……」

私は、やんわりと断るけれど……

「だったら、今から考えればいい。
 この1ヶ月で竜使いの仕事もだいぶ覚えた。
 レイナが望むなら、俺は竜使いになってもいいと思ってる」

えっ……

「でも、オルヴォはヤーコブさんの跡取り息子でしょ?」

だって、長男だもん。

「そんなの、ペルッティに任せればいい。
 俺には、農園よりレイナの方が大切なんだ」

オルヴォは優しい。

オルヴォを好きになれれば、きっと幸せになれるんだろう。

でも……

「ごめんなさい。
 やっぱり、オルヴォのことはお友達としか思えないの。
 これからもお友達じゃダメかな?」

真っ直ぐに私を見つめたオルヴォは、口惜しそうに唇を噛んだ。

「分かった。
 今日のところは、これで引くよ。
 でも、諦めたわけじゃない。
 レイナ、これからも友人として、こうやって一緒に出かけるくらいはしてくれるだろ?」

私は、そこで嫌とは言えなくて……

「う、うん」

と頷いてしまった。



どうしよう。

オルヴォ、本気かなぁ。

だって、今までずっとお兄さんみたいだったのに。
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