竜使いの少女が恋したのは王子様でした【完】
「アウリス、野菜の名前は分かるか?」
父が尋ねると、アウリスは、顔を上げた。
「エドヴァルドの特産品は、覚えてます」
それはきっと王子としての知識。
「じゃあ、その特産品をどう料理するのかは、知ってるか?」
「いえ」
アウリスは、恥ずかしそうに目を伏せる。
「レイナ、アウリスに料理を教えてやれ。
アウリス、もう、座ってれば食事が出てくる生活じゃない。ちゃんと自分で作れるようになれ」
「はい!」
父に言われて、アウリスは嬉しそうに返事をした。対照的に、オルヴォは不満そうにアウリスを見ている。
私は、先行きが不安でしかなかった。
「まず、左手は指先を曲げて……」
私は、包丁の使い方から教える。意外にもアウリスは手先が器用で、飲み込みも早い。皮むきは少し苦戦したものの、切るのはあっという間に上手にできる。
オルヴォは、もう何も言わず、ただアウリスが料理をするのを眺めていた。
時間はかかったけれど、アウリスはがんばってビーツの真っ赤なシチューを作り上げる。
「うん、おいしい! アウリスも味見してみて」
私が小皿にシチューを取って渡すと、
「ん! うまい!」
と満足げに笑みを浮かべた。
オルヴォがライ麦パンをカットし、私がシチューを盛り付ける。アウリスがそれらを運ぶ。
配膳が終わり、私は父の隣に座る。しかし、向かいの席を巡って、また、2人の間に火花が見えるようで、私はハラハラしながら、2人を眺める。すると、父が軽く咳払いをし、2人はそれ以上争うことなく、手近な席に座った。
この2人、どうすればいいんだろう。
オルヴォは、明日も来るのかな?
毎日、この空気の中で食事をするのは嫌なんだけど。
オルヴォは、アウリスがいることを知りながら、翌日からも、毎日うちを訪れる。アウリスが真剣に包丁を使っていると、オルヴォは私に話しかけ、するとアウリスが私に質問する。2人が互いによく思ってないのは、明らかだった。
私が、はっきり言えばいいのかな。
オルヴォは、もう来ないでって。
でも、せっかく親切心で来てくれてるのに、それを言うのは申し訳ないし。
父が尋ねると、アウリスは、顔を上げた。
「エドヴァルドの特産品は、覚えてます」
それはきっと王子としての知識。
「じゃあ、その特産品をどう料理するのかは、知ってるか?」
「いえ」
アウリスは、恥ずかしそうに目を伏せる。
「レイナ、アウリスに料理を教えてやれ。
アウリス、もう、座ってれば食事が出てくる生活じゃない。ちゃんと自分で作れるようになれ」
「はい!」
父に言われて、アウリスは嬉しそうに返事をした。対照的に、オルヴォは不満そうにアウリスを見ている。
私は、先行きが不安でしかなかった。
「まず、左手は指先を曲げて……」
私は、包丁の使い方から教える。意外にもアウリスは手先が器用で、飲み込みも早い。皮むきは少し苦戦したものの、切るのはあっという間に上手にできる。
オルヴォは、もう何も言わず、ただアウリスが料理をするのを眺めていた。
時間はかかったけれど、アウリスはがんばってビーツの真っ赤なシチューを作り上げる。
「うん、おいしい! アウリスも味見してみて」
私が小皿にシチューを取って渡すと、
「ん! うまい!」
と満足げに笑みを浮かべた。
オルヴォがライ麦パンをカットし、私がシチューを盛り付ける。アウリスがそれらを運ぶ。
配膳が終わり、私は父の隣に座る。しかし、向かいの席を巡って、また、2人の間に火花が見えるようで、私はハラハラしながら、2人を眺める。すると、父が軽く咳払いをし、2人はそれ以上争うことなく、手近な席に座った。
この2人、どうすればいいんだろう。
オルヴォは、明日も来るのかな?
毎日、この空気の中で食事をするのは嫌なんだけど。
オルヴォは、アウリスがいることを知りながら、翌日からも、毎日うちを訪れる。アウリスが真剣に包丁を使っていると、オルヴォは私に話しかけ、するとアウリスが私に質問する。2人が互いによく思ってないのは、明らかだった。
私が、はっきり言えばいいのかな。
オルヴォは、もう来ないでって。
でも、せっかく親切心で来てくれてるのに、それを言うのは申し訳ないし。