俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
「西側の景色見たことないだろう?」

「……えっ?」

引き寄せられた体は柳田の胸に収まるわけではなく、大きなガラス窓の前に立たされていた。そこからはまた街並みがパノラマに広がる。

いつも執務室から見える南側、先ほどエレベーターの中から見た北側、そして今見えている西側。
どれも同じ都会の街並みが見えるのに、その景色はまったく違うものだった。

「うわあ、すごい!こちら側は川が見えるんですね!ビルが少ないから遠くまでよく見える!」

「子供みたいなはしゃぎっぷりだな」

一花が興奮して言うと、柳田はからかいながらも満足げに笑った。

「さてと、そろそろ行くかな」

「あ、はい」

時計を見て歩き出す柳田に、一花も慌てて着いていく。

(もしかして景色を見せるためだけにここに来たの?)

景色を見た以外は特に何もなく、そう思うと妙な嬉しさが込み上げてくる。

「社長、ありがとうございました」

「おう」

一花のお礼に柳田は振り向きもせず短く返事をした。そっけない態度がなんだか可笑しくて、一花は柳田の後ろを歩きながらこっそりと微笑んだ。
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