俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
フォーラムでは各企業の上層部が出席しており、一花は名刺交換をする柳田の後ろに隠れるように静かにしていた。できるだけ目立たないようにと配慮しているのに、柳田はすぐに一花も紹介する。

その度に一花は恐縮しながら丁寧に挨拶をするのだが、これが意外と疲れる作業だった。

「社長、私のことは紹介しなくていいですよ」

「しんのすけも顔を売っておけよ。この先何があるかわからないだろ?人脈作りだ」

「……社長は十分顔が売れているでしょうに」

国内外との取引きのみならずメディアにも顔を出す柳田は、一花にとってはとても近くにいる有名人に近い存在だ。
それ故に、柳田からよりも相手の方から挨拶に来る場合が多いように感じる。

長きにわたる名刺交換と、一花にとっては少し難しく感じたフォーラムへの参加を無事にこなし、やっと会場を出たのは午後七時をまわったところだった。

外はもう薄暗く、街並みが夜景としてくっきりと浮かび上がっている。
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