俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
夜景もさることながら、柳田の食事の所作がいちいち綺麗で一花は内心驚いていた。

口調や態度は俺様のくせに、だ。

(きっと育ちがいいからなのね?若くして起業するくらいだから、ご実家も裕福でこういう高級なところにも来慣れているんだろうな)

勝手に推測しては納得し、ますます自分が場違いな気がして肩身が狭くなる。

「良い眺めだな」

「そうですね。17階でも高いと思っていましたが、上には上があるんですね」

いくら見ても飽きない夜景は、一花の心を掴んで離さない。柳田と二人きりで食事をする緊張も、この夜景のおかげで視線に困らないでいた。

「バカにするなよ」

突然低い声で言われ、一花は柳田へ視線を戻し首をかしげる。

「はい?」

「今は17階だが、いずれオフィスゾーンの最上階に事務所を移転させる」

「……え?」

「俺は常に上を目指しているからな。だからお前もそれを手伝え」

命令口調だがそこには確たる自信が込められているのをひしひしと感じ、一花は背筋を伸ばした。

「はい、もちろん仕事は確実にこなします。……それにしても、社長は野心家ですね」

「バカ、野心家じゃねえと社長なんて務まらねえよ」

艶やかに笑う柳田はとても美しかった。
上に立つというのはそういうものかと、一花は妙に納得した。
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