俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
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定時で上がれた日など時間があるときは、たまにショッピングモールへ寄ったりする。
少し足を伸ばすだけで、有名店が揃う複合型商業施設があるのだ。

一花はプラプラとウィンドウショッピングをしていた。たくさんのショップがあるだけでもウキウキするのに、店頭には目の惹くものが飾りつけられ、つい吸い込まれそうになってしまう。

その中でも、老舗和菓子店の店頭に飾られたひとつの和菓子に釘付けになった。

その和菓子には、星が散りばめられたみたいに、まるで天の川のような綺麗な模様が描かれている。

「いらっしゃいませ。こちら今月のおすすめとなります、天の川をモチーフとした羊羮になります」

「あ、やっぱり天の川だったんですね。すごく綺麗ですね」

「贈り物としてとても人気ですよ」

「贈り物かぁ」

羊羮一本分に描かれた天の川。
確かに、こんな素敵な羊羮は自宅用というよりは贈り物に相応しいかもしれない。

ふと、一花は閃いた。

ずっと頭の片隅で気になっていた、先日食事を奢ってくれた柳田へのお礼。しようかしまいか考えあぐねてずるずると月日だけが経ってしまっている。

「……これ、一本ください。えっと、自宅用で……」

「はい、ありがとうございます」

営業スマイル全開の店員に対し、一花はハニカミながら財布を出した。
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