俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
「今日は夕方に戻る」

「はい、承知しました」

取引先との打ち合わせに出かける柳田を送り出し、一花は向井と二人、静かに事務作業を始めた。

静かな空間でひとつのことに没頭すると、なかなかに時間の流れが早い。気付けばもう終業時刻になろうとしていた。

「社長帰ってきませんね」

「そうですね。野原さんは定時で上がっていいですよ。私が待ちますので」

「はい、わかりました」

一花が帰り支度をしていると、向井の携帯電話が鳴った。電話対応している向井に一礼し、一花は執務室を出る。

「野原さん、ちょっと待ってください!」

「はい?」

慌てて追いかけてくる向井に、一花は首をかしげた。

「社長が交通事故に巻き込まれたらしく、今病院にいるみたいです」

「……えっ?!」

交通事故?
病院?

その時、一花の中で走馬灯のようによみがえる記憶があり、一花は持っていたカバンを落とした。カバンからは手帳やスマホ、ポーチが飛び出て散乱する。だが一花は固まって動くことができなかった。
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