俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
***

「大丈夫ですか、野原さん?」

向井が散らばったカバンの中身を拾いに駆けつける。

「えっ?あ、すみませんっ!」

慌てて一花も拾い集めるが、その手は微かに震えていた。

(社長が死んだらどうしよう)

頭の中でぐるぐると、ネガティブな考えばかりが浮かんで一花を支配していく。

「私は病院に向かいますね。野原さんはこのまま帰宅してください。また連絡しますから」

「……私も行きます。」

「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」

「……でもっ!」

一花はとっさに向井の袖を掴んだ。その必死な表情に向井は驚きつつも、自分の袖をつかんでいる小さくて華奢な手が微かに震えていることに気づいた。触れると壊れてしまうような繊細な緊張がひしひしと伝わってくるようで、逆に向井の方が緊張してしまう。

「……わかりました。一緒に行きましょうか」

向井の言葉に一花は小さく頷き、ようやく掴んでいた袖を離した。

向井の袖には一花の必死さを物語るような小さなシワができていた。
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