俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

静かな空間に、キーボードを打つ音だけが聞こえてくる。

一花は仕事をしながら、向井の“大切な恋人”はどんな人だろうかと思いを馳せた。
あの聡明で温厚な向井の恋人なんて競争率が高そうに見えるし、そうとう高嶺の花じゃないと務まらないのではないだろうか。一花がこの秘書課に異動する前にいた社員も、向井に告白して玉砕したと聞く。

(気になるっ……)

ウズウズした気持ちでいると、ふいに柳田が気の抜けたプライベートな声を上げた。

「政宗～、お前、いつの間に彼女できた？」

直球で聞く柳田に、一花はハラハラしてしまう。しかも自分もこの場で聞いていていいのだろうかと、変に焦った。

「……直己が恋愛に現をぬかしている間に、俺も急展開」

「急展開って、まさかっ！」

「……たぶん直己が想像してる通りだと思うよ」

「マジかよ。いや、おめでとう」

完全にプライベートな会話に、一花は場違いな気がして身を小さくした。何がどうなっているのか全然わからないが、とにかく何だかおめでたい様子だ。