身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
私はそのあと、一日ぶりにこちらの自分の部屋に向かう。

「はぁー」

ふかふかのベッドに飛び込み、ごろんと転がった。初めてこのマンションに来たときは隅っこで縮まっていたのに、今はなんだか安心する。いつの間にかここもきちんと私の部屋になっていたのだ。

「紗衣、入るぞ」

すると出し抜けに菖悟さんの声がして、部屋のドアが開いた。

慌てて身を起こした私の前に、彼は歩み寄ってくる。

「どうしましたか?」

「夜這いだよ」

ベッドに乗り上げ、菖悟さんは私を押し倒しながら耳元で囁いた。

「よ、夜這いって……」

捕らえられた腕の中で、私は大パニックに陥った。

すると彼はすぐに悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「冗談だ。病み上がりの奴に襲いかからない理性くらいはある」

「そ、そうですよね……」

本気にした自分が恥ずかしくなり、私は真っ赤になった。
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