身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
どうやら高須賀さまは私にいきなりプロポーズしたわけではなく、川嶺さまの代わりをしてほしいらしかった。

「無理です! っていうかありえません!」

けれど私は断固拒否した。

高須賀さまが川嶺さまとの結婚を思い直してくれたことはうれしいけれど、私が代役をするのはまた別の話だ。似ているのは平均的な身長と体型、セミロングのヘアスタイルだけで、私には彼女のような愛らしさや内から滲み出る華やかさはなかった。あまりにも平凡すぎて、すぐに偽物だと気づかれてしまうだろう。

それに何よりも、結婚式は神様の前で愛を誓い合うのだ。花嫁の代役なんて簡単に引き受けられるものじゃない。

それなのになぜか高須賀さまのお母さまは、息子が名案を思いついたかのように目を輝かせ始める。

「いいえ、菖悟の言う通りだわ。今井さんならきっとうまくやってくれるわね。今井さんにお任せしましょう」

「え、ちょっ……」
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