身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「素敵ですね、ずっと一緒の幼なじみがそのままご結婚されるなんて」

マリヨンの打ち合わせブースで、つい先ほどご成約となったお客さまから馴れ初めを聞かせてもらい、私は声を弾ませた。

このたびの新郎新婦は幼なじみで、小中高、大学まで同じところに進んだらしい。さすがに就職先は違うようだが、ふたりとも現在も同じ地元に留まっているという。

「ただの腐れ縁なんですけどね。こうなったらもう死ぬまで一緒にいよっか、みたいな」

新婦さまは豪快に笑った。そんなふうに一生共にいようと思えることが素敵だと思う。

「そういうのいいですね」

「えー、地味ですよー? 私はもっとドラマチックな出会いに憧れてたんですけど」

新婦さまの明け透けな発言に私は少しハラハラしたけれど、隣にいる新郎さまはにこにこしていた。きっと新婦さまが照れ隠しでそんなことを口にしていると、ちゃんとわかっているのだろう。

心が通じ合っているふたりの関係がうらやましくなる。

「今井さんはどうなんですか?」

不意に新婦さまに水を向けられて、私は目を瞬かせた。
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