身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「え?」

「いい人いないんですか?」

キラキラした目で訊かれ、私は苦笑いする。

「いたらいいんですけど、今は仕事一筋なんです」

「そうなんですねー」

私に恋人がいないとわかれば、新婦さまの興味はそがれたようだった。

私はほっとし、話を新郎新婦に戻す。ふたりの理想のウエディングについて聞かせてもらった。

新郎さまも新婦さまもアットホームな結婚式を希望しているようだった。披露宴では演出や余興を詰め込みすぎず、ゲストとゆったり過ごす時間を優先したいという。これから半年かけて打ち合わせを重ねていくことになるけれど、理想の実現に向けて私はいつも以上に意気込む。

こうして接客をしているときだけが、私は冷静でいられるからだ。

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