身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「……あいつって誰ですか?」
川嶺さまは菖悟さんに尋ねた。
そして彼が答える前に、自ら私の名前を出す。
「今井さんですか?」
「ああ」
「どうして今井さんが出てくるんですか? 私たちに何の関係もない人ですよね?」
首肯した菖悟さんに、川嶺さまは声を荒らげた。
「関係ない、ね。おまえ、その紗衣に何を言った?」
切り込んだ菖悟さんに、私は激しい狼狽に襲われる。
川嶺さまが私に会いに来たことは、マリヨンの社員以外知らないはずだった。
「菖悟さんが何を言っているのかわかりません」
「しらばっくれても無駄だ」
ふたりの言い争う声に、私は正面に座る北瀬マネージャーに視線を向けた。
すると北瀬マネージャーはにっこり微笑み、口元で人差し指を一本立てる。
黙って聞いていなさいと、その目が語っていた。
私はそこでやっと、彼は最初から菖悟さんと川嶺さまがここにいると知っていて私を連れてきたのだと察する。
菖悟さんに川嶺さまの話をしたのも彼に違いなかった。
川嶺さまは菖悟さんに尋ねた。
そして彼が答える前に、自ら私の名前を出す。
「今井さんですか?」
「ああ」
「どうして今井さんが出てくるんですか? 私たちに何の関係もない人ですよね?」
首肯した菖悟さんに、川嶺さまは声を荒らげた。
「関係ない、ね。おまえ、その紗衣に何を言った?」
切り込んだ菖悟さんに、私は激しい狼狽に襲われる。
川嶺さまが私に会いに来たことは、マリヨンの社員以外知らないはずだった。
「菖悟さんが何を言っているのかわかりません」
「しらばっくれても無駄だ」
ふたりの言い争う声に、私は正面に座る北瀬マネージャーに視線を向けた。
すると北瀬マネージャーはにっこり微笑み、口元で人差し指を一本立てる。
黙って聞いていなさいと、その目が語っていた。
私はそこでやっと、彼は最初から菖悟さんと川嶺さまがここにいると知っていて私を連れてきたのだと察する。
菖悟さんに川嶺さまの話をしたのも彼に違いなかった。