身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
そうして祭壇前には、これまた本日初めてお目にかかったばかりの新郎、高須賀菖悟さまが悠然と構えていた。

品の良さが滲み出る佇まいは、さながらどこかの国の王子様のようだ。タキシードやネクタイ、ベストのすべてが白で統一されているオールホワイトのコーディネートが、長身で華やかな顔立ちの彼にとてもよく似合っている。

お父さまから高須賀さまへエスコートチェンジが行われ、私は高須賀さまと腕を組み、檀上までの階段を上がった。

緊張で心臓が口から出かかっている私に、高須賀さまは「見違えた」と悪戯っぽく囁く。

それはどういう意味なのだろう? 

おそらく、化けたな、というニュアンスだ。私はほんの三十分前まで、マリヨンの制服であるパンツスーツ姿だったから、そう思うのも無理はない。

「新郎、菖悟、あなたはここにいるサエを妻とし、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命のある限り、真心を尽くすことを誓いますか」

牧師からの問いかけに、高須賀さまは「はい、誓います」とまっすぐな声で答えた。
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