身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
強引な求愛
その日は結局、最後まで川嶺さまは戻ってこず、食事パーティーに切り替えられた結婚披露宴はお開きになった。

両家からは感謝の言葉をいただいたけれど、私はやるせなさが残ってしまう。

私が高須賀さまの花嫁としてバージンロードを歩いたことは、関係者のみの極秘とされた。

けれどあれから一週間が過ぎた現在も、後輩のあいりちゃんは「替え玉の花嫁ってよくあるんでしょうか!」と朝から興奮気味に話しかけてくる。

「か、替え玉? よくはないとは思うよ? たまにもないと思うんだけど」

事務所で仕事の準備をしながら、私は苦笑いした。

「実際あったじゃないですか。世の中って漫画みたいにドラマチックなことが本当に起こるんですね!」

あいりちゃんは鼻息荒く続ける。
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