身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
そうして定時の六時半になると、「今井先輩、報告待ってますね!」と残業中のあいりちゃんや、ウエディングプランナーの先輩総勢四名に見送られて事務所を出る。

車はどこかと探すまでもなく、従業員出入り口前にドンと高級車が停まっていた。

さらにその前には運転手らしき、初老の男性が立っている。

「今井さま、はじめまして。私は高須賀家の運転手、山岡と申します。どうぞご乗車くださいませ」

山岡さんは温和な人柄が滲み出る柔らかい笑みを浮かべ、後部座席のドアを開けてくれた。

車を寄越すというのはタクシーだと思っていたけれど、どうやら高須賀さまが所有している車のようだ。お抱え運転手がいるなんて、彼は本当に御曹司なのだと改めて思い知る。

そうして着いたのは、超高級ホテルの最上階にあるフレンチレストランだった。確かここは半年以上の予約待ちだと、以前お客さまに聞いたことがある名店だ。
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