身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
けれど高須賀さまから再び目下の攻防に話を戻された途端、私はしどろもどろになってしまう。

「え? えっと、あの、だから……?」

「さっきまでの勢いはどうした」

高須賀さまは薄目で私を見据えた。

「……すみません。私、自分のことになるとてんでだめで……」

私は自分に関してはかなり弱腰なのを白状した。お客さまのためなら強気になれるけれど、本当は小心者なのだ。

「そうみたいだな」

高須賀さまはたじたじになっている私に、さてどうやって落とそうか、とでもいうような眼差しを向けた。

もはや私は蛇に睨まれた蛙状態だ。

「俺と結婚するのはそんなに嫌か?」

「……嫌というわけではありません」

私なんか恐れ多いほど、高須賀さまは素敵な人だ。ただありえなさすぎて、考えられなかった。平凡なウエディングプランナーの私が、高須賀商事の御曹司さまに求愛されるなんて夢にも思わない。
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