身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
確かに合理的なのかもしれない。高須賀さまは多忙で、私も仕事が第一だから、外で会うとなるとなかなか予定が合わず、すれ違ってしまうだろう。けれど同じ家に帰るとなれば、たとえ短時間でも共通の時間を持てるし、お互いの存在を感じられる。

「でも、高須賀さまは破談になったばかりです。すぐに私と暮らし始めてもいいのでしょうか」 

私はなんとなくもやもやしていた気持ちを打ち明けた。

「世間体が悪いって?」

「悪くしないために私に結婚を申し込んだのだと思いますが……」

「じゃあ何が悪いの? あいつは引きずるタイプじゃないし、きちんと区切りもついてる。問題ないよ」

北瀬マネージャーは私のわだかまりをばっさり切り捨てた。

そして慈愛に満ちた笑みを浮かべる。

「今井さん、人生は短いんだよ。明日何があるかもわからない。よくわからないものに囚われてちゃいけないよ」

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