身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「今夜もお帰りは遅くなりそうでしょうか?」

ゆっくりと食事しながら私は尋ねた。もし早ければ夜ごはんも私が準備しようと思ったからだ。

すると菖悟さんは「そういえば伝えるのを忘れていた」と、私に一枚の封筒を差し出した。

「これは?」

「友人の会社のレセプションパーティーの招待状だ。今日の午後五時から開かれる」

「そうなんですね」

「紗衣も一緒だぞ。夫婦で出席してくれと言われているから」

「え? でも私たち……」

まだ正式には夫婦じゃない。

口にしかけたのを、菖悟さんに阻まれる。

「俺たちの結婚式に列席してくれた友人だからな」

「あ……」

それならば断わるのは不可能だった。

実際の私たちは、結婚式は挙げたけれど夫婦未満だから、こういうときは少し困惑してしまう。

「俺は一旦、マンションに四時過ぎには帰ってくるから、一緒に向かおう」

会場となるホテルはここから車で十五分ほどらしかった。
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