身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「松浦さま、お電話ありがとうございます。どうかされましたか?」

この時間に電話をかけてくるなんて、何かあったのだろうかと不安がよぎった。

『今井さん、本当に申し訳ないのですが、明日の披露宴のテーブルコーディネートを変更していただけませんか?』

突然の松浦さまの申し出に、私は目を瞬かせる。

「すべての入れ替えをご希望でしょうか?」

『いえ、変えるのはテーブルクロスのトップクロスだけでいいんです。打ち合わせのとき、最後まで悩んでいたあのシャンパンゴールドの……。やっぱりあっちがいいなって思い始めたら、居ても立っても居られなくなって……。一生に一度のことだから、後悔したくないんです』

変えるのはトップクロスだけといっても、すでにその上に花器やキャンドル、カトラリーやペーパーアイテムなどがすでにセッティングされている。今朝からバンケットのスタッフたちが時間をかけて丁寧に仕上げたのだ。当然私もチェック済みだった。

正直、今から変更は厳しい。とはいえ披露宴のバンケット会場は、結婚式の中でゲストが一番長く滞在する場所だ。松浦さまに悔いを残してほしくない。
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