I want to...
回診はさっきの佐藤さんのような優しい人ばかりではない。

患者A「儂は病気なんかじゃねぇだ!なんでこなところにいなあかんのや。わしは帰るんじゃ!」

町田先生「そうですねぇ、もうだいぶ元気そうですしお家に帰してあげたいんですけどね、おじいちゃんにはもっと元気になってもらってまだまだ長生きしてもらいたいんですよ〜」

患者B「僕死んじゃうんだ…もうやだよ…」

町田先生「大丈夫。手術したらちゃんとまた治ってサッカーも出来るし、学校にも通えるよ。だからゆっくりでも頑張ろう?」

患者C「娘達がなぁ来る度に遺産の話、保険の話…俺は死ねってことなのかねぇ…」

町田先生「1度ゆっくり娘さん達と話し合った方が良さそうですね。今度会議室空けておきますからそこで1度僕を含めて今後の治療方針を話し合いましょう。」

なんて言う回診は文句や愚痴がとにかく多かった。

町田先生「長い間動けないとなると、その人自身にも、家族にも周りの人も気を使ったりして、ストレスになるだから、病院ではよくある事なんだ。」

と話してくれた。

町田先生「僕はね、そういったストレスをなるべく少ない病院にしたいから診察は手際よくさっさと終わらせて、その人に合わせた治療方針を目指している。」

それにねと付け足して

町田先生「僕が来た時、ここの病棟と小児の病棟を行き来していたハルちゃんね、小児ではまだ、プレイルームとか院内学級があったから楽しかったけどこっちは楽しくない痛いだけだって嫌がったことがあってね。医局長に掛け合ってカウンセリングルームの1部を間借りして憩いの場を作ったりホールにお絵描きボードを設置したり、あとは小児棟に研修があったから色々とハルちゃんの、喜びそうなものを、集めたりしたんだ。まぁ、そのおかげか今ではカウンセリングルームの、権限僕持っちゃってるんだけど、こうやって味気ないところを温かみのある病棟に変える手伝いを君にもしてもらいたいんだ。」

と言うとニコッと笑う。

町田先生「さて、少し話し込んだところでハルちゃんの部屋に行こうか。」

ふと時計を見ると時刻は9時30分を指していた。

ミツキ「はいっ!」
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