その手をつかんで
「明日花、薔薇が好きだと言ってたよね。少しでも喜んでもらえるといいなと思って、選んだ」

「花束をもらったのは初めてなので、嬉しいです」

「プロポーズは?」


私が「えっ?」と聞き返すと、蓮斗さんはテーブルの上に置いた両手を絡めて再度聞く。


「プロポーズは初めてじゃない?」

「いえ、プロポーズも……初めてです」

「で、どうだった?」

「信じられなかったけど、嬉しいです」


うつむき加減で答えると、さらに質問された。


「それはどうして? どうして嬉しくなったの?」

「どうしてって……えっと、それは……私も蓮斗さんが好きだから……」


花束に視線を落として、小さい声で返した。聞こえたかな?

すぐに返事がないから、不安になる。おそるおそる顔をあげると、頬を染める蓮斗さんがいた。

えっ、うそ?

彼の反応が意外過ぎて、まじまじと見てしまう。


「あの、蓮斗さん?」

「あ……いや、その、明日花からまさか告白されると思っていなくて……俺を好きだと言ったよね?」

「はい、言いました。どう答えると思ったんですか?」
< 115 / 180 >

この作品をシェア

pagetop