その手をつかんで
蓮斗さんの質問は私の気持ちを聞いたものだと思ったけど、違ったのかな?

彼から好きだと言われて、自分の抑えていた気持ちが溢れでた。それを正直に伝えたのだけど……。


「いや……期待していた答えだけど、はっきり言わずにごまかすかなと思ったから」

「ごまかさないですよ。だって、蓮斗さんが好きだと言ってくれたから、私もちゃんと答えます」


彼は顔を緩めて、「うん」と言う。


「やっぱり明日花は真面目だね。そういうところも好きだよ」

「あ、ありがとうございます」


私の顔はまたまた熱くなった。動揺する気持ちを落ち着かせようと花束を横に置いて、紅茶を飲む。

美味しい紅茶は気持ちを穏やかにしてくれる。良かった、またここに来れる。

イヤな思い出じゃなくて、素敵な思い出の場所になったから。


「ところで、これからどうする?」

「これからですか? どうするって……」


恋愛経験値が低いから、聞かれても答えられない。気持ちが通じあったあとは、どうするのが正解なのかわからない。


「明日花はこのあと、何をする予定にしてた?」
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