その手をつかんで
お礼を伝えた私は、再び蓮斗さんを見た。


「明日花は心配性だね。やっと安心出来たかな?」

「はい」

「で、父さん。俺たちを呼んた理由は結婚の意思を確認するため?」

「それもあるけど、いつ結婚するのか聞きたくてね。いつの予定にしている?」


私たちは顔を見合わせた。昨日結婚すると決めたばかりで、具体的な話はしていない。

私としては結婚前提とした交際を始め、結婚についてはこれからゆっくりと話し合っていくものだと思っていた。

蓮斗さんの考えは違うのかな?


「まだ昨日の今日だから、いつとかまで決めていない。まあ、一年以内に出来ればいいと思うけどね。明日花は今すぐ結婚したい?」

「私も今すぐとは考えていません。まだこの会社で働かせてもらってから短いですし、今は仕事をがんばりたいです」


私の返事に社長は、笑った。


「蓮斗よりも仕事が大事なんだね」 

「えっ? いいえ、蓮斗さんも同じくらい大事です」

「そうか、同じくらいか。蓮斗、ガッカリしていないで仕事よりも大事だと思われるようがんばりなさい」

「えっ、ガッカリ?」
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