その手をつかんで
確かに仕事中には、装着出来ない。こんな目立つのを付けていたら、また社内で噂されてしまう。


「パーティーには、付けてね」

「はい! とても素敵で嬉しいです」

「喜んでもらえて良かった」


微笑み合った私たちは、和やかに少し遅めの夕食をとった。

夜景がきれいに見えるレストランでの食事はとても美味しい。


大好きな蓮斗さんがすぐそこにいて、夢を見ているようだ。

もしかして、夢ではないだろうか。

こんな良い夢、目覚めたくない。


「どうした? なんか表情が固くなってるけど」


蓮斗さんは私をよく見ている。だから、微かな変化でも気付かれる。


「あの、これ現実ですよね? 夢じゃないですよね?」

「もちろん夢ではない。どうしてそんなことを言うの?」

「信じられないくらい、何もかも素敵なので夢なのではと思って」

「現実だよ。俺が明日花を好きで、明日花も俺が好き。だから、俺たちは結婚するんだよ」


優しく微笑む蓮斗さんは、私に素敵な夢を見させてくれる。

好きだから結婚する……素敵な現実だ。
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