その手をつかんで
ドレス姿を褒めてくれたのは、瑠奈の旦那さんである涼輔さんだ。もしかして、瑠奈もいる?

涼輔さんの周囲に目を配る。


「ごめんね。瑠奈も来たがっていたんだけど、今年は咲里奈と留守番なんだ」

「そうなんですね。会いたかったので、残念ですけど、まだ咲里奈ちゃんが小さいですものね」

「瑠奈も会いたがっているから、いつでも遊びに来てね。ところで、蓮斗は疲れた顔してるね。あ、明日花さんもだね」


お母さんに会う前、私たちは塚本さん以外にも、たくさんの人と挨拶をした。蓮斗さんが紹介してくれたけど、好意的な受け方をする人は少なく、私はとても居心地が悪くなった。

蓮斗さんは少しでも私を悪く言われないよう、丁寧に返してくれた。

立食形式で美味しそうな料理が並んでいても、蓮斗さんも私も食欲が失せていて喉を潤す程度しかしていない。


「そろそろ帰りたいよ」


蓮斗さんの本音は私の本音でもある。早くパーティーが終わらないかと考えていた。


「まだ一時間も経っていないぞ? 俺も帰って、咲里奈と遊びたいのを我慢しているんだから、蓮斗も辛抱しろよ」

「わかってるよ」
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