その手をつかんで
結婚を年内にしたい理由は、年末年始を夫婦として、過ごしたいからだと言う。

蓮斗さんは自分の希望を通さないで、私の希望も聞いてくれる。本当に優しい人。

アマリリスタウンは、誰もが憧れる素敵な街だ。そこに住んでいる瑠奈が最高の住み心地だと目を輝かせて、話していた。

蓮斗さんが購入したマンションは瑠奈のところとは別棟になる。

だけど、瑠奈が同じ街に住んでいるのは、とても心強い。楽しいことも多いに違いない。蓮斗さんと結婚したら、瑠奈とは姉妹になる。

今後のことを考えると、アマリリスタウンに住んで、損は絶対にない。

それに、蓮斗さんがいれば、どこに住んでもいいと思っている。彼がいる場所が私のいる場所だ。

急な話ではあるが、異論はない。


「私も蓮斗さんともっと一緒に過ごしたいと思っていたので、入籍も住まいも蓮斗さんの言うとおりで良いです」

「本当に?」

「はい、一緒に暮らすのがとても楽しみです」


それからは、とにかく慌ただしく時間が過ぎた。マンションは既に用意されていたけれど、中の家具は備え付けの最小限の物しかなく、早急に決めて手配した。

ギリギリではあるけれど、希望通りの年内に全部が揃えられた。
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