その手をつかんで
「明日花、おはよう」

「おはよう、蓮斗さん。外、とてもきれい! 海青いし、砂浜は真っ白です! ここ、すごいです!」


窓の外を指差すと蓮斗さんは頷いて、体を起こした。

両手をあげて伸びた蓮斗さんは、私の手首をつかむ。引き寄せられて、彼の胸に頭をつけた。

彼の腕の中におさまり、規則正しく聞こえてくる心臓の音に耳をすます。


「えっと、蓮斗さん? 外、見ましょうよ」

「んー? はしゃぐ明日花がかわいくて、抱き締めたくなった」


結婚して八か月、彼はまだまだ甘い。毎回告げられる甘い言葉に私はいつも動揺させられている。


「もう、蓮斗さんったら……寝起きの蓮斗さんもかっこいいですよ」


私も負けじと彼を褒める。


「明日花は寝ていても、起きていてもかわいくて、いつも俺を幸せにしてくれる」

「えっと、あの……私も毎日幸せです」

「嬉しくことを言ってくれるね。ほんとかわいい。朝から食べたくなるね」


蓮斗さんは、私の頭から背中まて撫でた。彼から紡がれる甘い言葉は、止まりそうにない。
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