その手をつかんで
美しい顔立ちの男性スタッフが奥の個室まで案内してくれる。椅子を引いてもらって、腰を下ろした私は窓から見える景色に目を奪われた。

なんて素敵……きれいに整備された庭園は、幻想的にライトアップされていた。


「素敵なお店ですね」

「うん、俺も初めて来たんだけど、いいね。ここは、瑠奈から教えてもらったよ。女子なら誰もが気に入るレストランだからって」


ここで結婚式もできるようで、調度品も素敵なものばかりだ。

瑠奈はきっと旦那さんと来店したことがあるのだろう。瑠奈が好みそうなお店だけど、女性なら誰もが喜ぶというのは、間違っていない。

私も心を弾ませているから。


「なにかシャンパンで乾杯と思ったけど、俺は車だし、明日花さんは薬飲んだからやめておこう。あ、明日花ちゃんと呼んだほうがいいかな?」

「そうですね、シャンパンはまたの機会にしましょう。呼び方は、呼びやすいほうでいいですよ」

「じゃあ、明日花」

「えっ?」


呼び捨てにされて、胸がドキンと高鳴った。確かに明日花が一番呼びやすいとは思うけど、いきなりでビックリした……お試しとはいえ、お付き合いするのだからいいかな。

心の中でこっそり納得して、こくりとうなずく。
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