その手をつかんで
瑠奈と私がキッチンでコーヒーの用意をしている間、蓮斗さんが涼輔さんの腕の中にいる咲里奈ちゃんを見ながら、聞いていた。
涼輔さんは現在、育児休暇中だ。
「育児はどうだ?」
「予想以上に大変だけど、予想以上にかわいい。うちの娘、目鼻立ちがハッキリしていて、めちゃくちゃかわいいだろ?」
「そりゃ、涼輔の顔がハッキリしているから似たんだろ? まあ、確かにかわいいし、将来はモテるだろうな」
キリッとした顔立ちの涼輔さんは締まりのない表情をしていたが、蓮斗さんの言葉に狼狽えた。
「何を言うんだ、俺のものだ。誰にもやらないからな、お前にも」
「俺はくれとは言わないけど、いつかパパよりかっこいい誰かを好きになるんだよ。かわいそうだな、お前も」
蓮斗さんは慰めるように涼輔さんの肩に手を置いた。私と瑠奈はそのやり取りに笑う。
「お兄ちゃん、涼さんをいじめないでよ」
瑠奈が涼輔さんを庇うように言うけれど、蓮斗さんはさらに意地悪なことを言った。
「うちの親父だって、涼輔くんに取られたと嘆いていたぞ。だから、涼輔も同じ思いをするんだよ」
肩を落として咲里奈ちゃんを見ていた涼輔さんがハッとして、顔をあげた。
涼輔さんは現在、育児休暇中だ。
「育児はどうだ?」
「予想以上に大変だけど、予想以上にかわいい。うちの娘、目鼻立ちがハッキリしていて、めちゃくちゃかわいいだろ?」
「そりゃ、涼輔の顔がハッキリしているから似たんだろ? まあ、確かにかわいいし、将来はモテるだろうな」
キリッとした顔立ちの涼輔さんは締まりのない表情をしていたが、蓮斗さんの言葉に狼狽えた。
「何を言うんだ、俺のものだ。誰にもやらないからな、お前にも」
「俺はくれとは言わないけど、いつかパパよりかっこいい誰かを好きになるんだよ。かわいそうだな、お前も」
蓮斗さんは慰めるように涼輔さんの肩に手を置いた。私と瑠奈はそのやり取りに笑う。
「お兄ちゃん、涼さんをいじめないでよ」
瑠奈が涼輔さんを庇うように言うけれど、蓮斗さんはさらに意地悪なことを言った。
「うちの親父だって、涼輔くんに取られたと嘆いていたぞ。だから、涼輔も同じ思いをするんだよ」
肩を落として咲里奈ちゃんを見ていた涼輔さんがハッとして、顔をあげた。